血ガスで何がわかるの?
血ガスの値をみても何を意味しているのかよくわからない
血ガスの結果をふまえてどうやって看護につなげればいいの?
血ガスの苦手意識をなくしたい!
血ガスって難しそう。アシドーシス?アルカローシス?なんのことやら・・・。血ガス結果を見た医師の指示待ち状態…。
このように、血ガスについて苦手意識を持っていたり、医師任せになっている看護師は多いのではないでしょうか?
私は循環器内科病棟で5年働いていた時ですら、血ガスについてちゃんと理解していなかったし、現在ブランクを経て復職した内科病棟でも、血ガスについて積極的に勉強していませんでした。(底辺ナースですみません・・・)
この記事では、ようやく血ガスについて興味を持ち始めた底辺ナースの私でも血ガスの値をなんとなく読めること、血ガス結果を踏まえて看護師の私たちは何をすればいいのかわかることを目的にまとめています。
勉強の参考にしたものは2つです。
- 「病気がみえるvol4 呼吸器」
- 北九州ファーストエイドの「やさしい血ガス」講座

最後まで読んでいただくと、明日からの仕事で血ガスの値を気にしてみたくなったり、日頃の看護にちょっと活かせると思いますので、是非ご覧ください。
血ガスでわかること3つ
血ガスを測定することで、肺・心臓・腎臓などの臓器や体液の状態を知ることができます。
その指標となるのは次の3つです。
- 酸素化・・・PaO₂で評価する
- 換気・・・PaCo₂で評価する
- 酸塩基平衡・・・PH、PaCo₂、HCO₃⁻、BEで評価する
【血ガスでわかること1】酸素化
酸素が体の隅々まで十分に行き届いているかを、PaO₂で評価します。
私たち看護師は、日頃サチュレーションモニターで経皮的に、患者さんの酸素飽和度を測っていますよね!
いつも見ているSPO₂の値と、血ガスデータのPaO₂の値を比較しますね。
SPO₂(%) | PaO₂(Torr) | |
98 | 100 | |
95 | 80 | |
90 | 60 | ←ここが低酸素血症の診断基準で、酸素開始になる |
60 | 30 |
SPO₂?PaO₂?何がちがうの?と思った方は、下記図を見てください。血ガス表記には決まり事があります。

【血ガスでわかること2】換気
空気の出入りがちゃんとできているかを、PaCo₂で評価します。
拘束性換気障害の病態
↓↓↓

原因疾患には、間質性肺炎や肺結核後遺症などがあります。
閉塞性換気障害の病態
↓↓↓

原因疾患には、COPDや気管支喘息などがあります。
CO₂は呼気で排出されるので、閉塞性換気障害があるとCO₂が増えて、血ガスでのPaCO₂が高くなります。
【血ガスでわかること3】酸塩基平衡
酸塩基平衡は、主に肺と腎臓で調節されている体内の酸と塩基のバランスのことです。
- 体内の酸と塩基のバランスがとれている = PH7.4が維持できている状態
- 体内の酸と塩基のバランスが崩れている = PH7.4以下、PH7.4以上で、生体に異常がおきている状態

このあたりから、一気に血ガスについて拒否反応が出てきますよねえ・・・。
なるべくかみ砕いた説明をこころがけていますので、もうちょっとがんばって読み進めてください!
体内の酸と塩基のバランスが崩れるのはなぜなのか?そもそも酸と塩基とはなんなのか?
代表的な酸 H⁺を放出するはたらき | 代表的な塩基 H⁺を取り込むはたらき |
H₂CO₃(炭酸) | H₂CO₃⁻(重炭酸イオン) |
H₂PO₄(リン酸) | Hb⁻(ヘモグロビン) |
↓ | ↓ |
放出したH⁺が血液に増えると体液のPHは酸性に傾く | H⁺を取り込む塩基が多いと、H⁺は減少して体液のPHはアルカリ性に傾く |
H⁺は体内の酸から放出される水素イオンのことで、塩基は酸から放出されたH⁺を取り込む働きをします。
ここで、みんなの苦手意識がつよいであろう重炭酸緩衝系の平衡式の登場です。

なんのこっちゃですよね。
この式は、代謝された酸が矢印の方向に行ったり来たりしながら、体内のPHを保つ仕組みを意味しています。
酸には、揮発性酸(CO₂)と不揮発性酸(炭酸、リン酸など)があります。
揮発性酸(CO₂)は呼吸で排出され、不揮発性酸(炭酸、リン酸など)はH⁺を放出し、そのH⁺は腎臓から尿中に排出されます。
HCO₃⁻は腎臓で血液に再吸収されます。
酸塩基平衡をもっと詳しく勉強しようとすると、頭がこんがらがってくるので、
肺からCO₂を排出!
腎臓はH⁺を排出してHCO₃⁻を血液に再吸収!
を覚えておくと、のちほど説明する血ガスを読むことに役立ちます。
では、ここまでのことを踏まえて、メインの血ガスをなんとなく読む項目へいきましょう!
血ガスをなんとなく読むにはとりあえず4つの値に注目
- PH
- PaO₂
- PCO₂
- HCO₃⁻
血ガスデータには、他にもBE(過剰塩基)、A-aDO₂(肺胞気ー動脈血酸素分圧較差)、SaO₂(動脈血酸素飽和度)があります。
しかし、ここでは「なんとなく血ガスデータを読む」ことが目的なので省略します。私自身がまだほかのデータの意味を理解していない、ということもありますが( ;∀;)
では4つの値でわかることをまとめていきますね。
【PaO₂とPaCo₂】肺が悪いのか?換気が悪いのか?
肺胞や肺の膨らみに異常があるのか(つまり肺が悪い)、そもそも空気の通り道に問題があるのか(つまり換気が悪い)を評価できます。
① PaO₂の値を見る
PaO₂が60mmHg以下は呼吸不全です。
肺胞低換気 | Ⅱ型呼吸不全 | PaCO₂45mmHg以上 | A-aDO₂正常 |
---|---|---|---|
換気血流比不均等 | Ⅰ型呼吸不全 | PaCO₂45mmHg以下 | A-aDO₂上昇(肺の問題) |
拡散障害 | |||
シャント |

PaCo₂が上がっていなければ、酸素療法の準備が必要だよ!
Ⅰ型呼吸不全のイメージは下記図のようなかんじです。

肺が悪い例ですね。Ⅰ型呼吸不全を起こす疾患を表にまとめます。
原因 | 主な疾患 |
換気血流比不均等 拡散障害 | 間質性肺炎 肺水腫 無気肺 ARDS COPD 肺血栓塞栓症 |
シャント | 先天性心奇形 |
② PaCo₂の値を見る
PaCo₂が45mmHg以上だったら肺胞低換気です。
肺胞低換気は下記図のようなイメージです。呼吸運動の低下や入ってくる酸素量が減ります。換気が悪い例ですね。


吸引や用手換気、気道確保が必要になるよ!
意識レベル低下があれば人工呼吸器の準備が必要だよ!
【PHで酸塩基平衡の評価1】体液が酸性側か?アルカリ性側か?
酸塩基平衡の評価のひとつは、体液が酸性側に傾いていないか?アルカリ性側に傾いていないか?を見ることです。
まず図を見てください。

正常な体液のPHは7.35~7.45です。幅があるので、7.4と覚えることが多いです。
PHが7.4以下だと、体液は酸性に傾いています。この状態をアシデミアといいます。
PHが7.4以上だと、体液はアルカリ性に傾いています。この状態をアルカレミアといいます。

どうして体液が酸性やアルカリ性に変化しちゃうの?
酸性側・アルカリ性側に傾く影響を与えているのは2つです。
- PaCo₂(二酸化炭素、肺で調整されている)
- HCO₃⁻(重炭酸イオン、腎臓で調整されている)

【PaCO₂とHCO₃⁻で酸塩基平衡の評価2】呼吸性か?代謝性か?
アシデミアにしようとする病態を、アシドーシスといいます。
アルカレミアにしようとする病態を、アルカローシスといいます。
次の図をみてください。

酸性とアルカリ性に変化する理由が、CO₂の増減によるものだったら「呼吸性」です。
酸性とアルカリ性に変化する理由が、HCO₃⁻の増減によるものだったら、「代謝性」です。
【PaCO₂とHCO₃⁻で酸塩基平衡の評価3】代償性変化があるか?
代償性変化とは、体液のPHが異常になったときに、肺と腎臓の作用によってPHをもとに戻そうとする働きのことです。
下の図は、正常なPHの値と、その時のPaCO₂とHCO₃⁻の値です。

例えば代謝性アシドーシスの場合
↓↓↓

HCO₃⁻が大きく減って、酸性に傾いています。すると体はPaCO₂を減らしてバランスをとろうとします。これが代償作用です。
実際の代償作用の体の症状としては、呼吸を増やしてCO₂をたくさん吐き出そうとします。
この代償性変化では、代償作用が働いていないなら急性、代償作用が働いているなら慢性的異常がおきている、とみることができます。
実際に簡単な血ガスデータを見て病態を考えてみよう!
ここでは、いくつかの血ガスデータを読む練習をしてみましょう!
- PHは?
- 代謝性か呼吸性か?
- 代償変化はあるか?
正常値は頭にいれておいてくださいね!

【問題1】PH:7.30、PaCO₂:36 HCO₃⁻:18の場合
- PHは?・・・酸性に傾いていますね
- 代謝性か呼吸性か?・・・HCO₃⁻が大きく減っていますね
- 代償変化はあるか?・・・PaCO₂が少し減っていますね

酸性とアルカリ性に変化する理由が、HCO₃⁻の増減によるものだったら、「代謝性」です。
この血ガスデータでは、代謝性アシドーシスということがわかります。
読み方がなんとなくわかってきましたか?
もう1つ問題をやってみましょう!
【問題2】PH:7.45、PaCO₂:42 HCO₃⁻:29の場合
- PHは?・・・アルカリ性に傾いていますね
- 代謝性か呼吸性か?・・・HCO₃⁻が大きく増えていますね
- 代償変化はあるか?・・・PaCO₂が少し増えていますね

酸性とアルカリ性に変化する理由が、HCO₃⁻の増減によるものだったら、「代謝性」です。
そのため、この血ガスデータは代謝性アルカローシスです。
血ガス結果をみて看護師がやること
~記事作成中~
【まとめ】血ガスをなんとなく読む一歩はPH・呼吸性か代謝性か・代償性変化の有無
血ガスで何がわかるの?
- 酸素化・・・PaO₂で評価する
- 換気・・・PaCo₂で評価する
- 酸塩基平衡・・・PH、PaCo₂、HCO₃⁻、BEで評価する
血ガスの値をみても何を意味しているのかよくわからない
- PH
- PaO₂
- PCO₂
- HCO₃⁻
- PaO₂とPaCo₂で肺が悪いのか?換気が悪いのか?
- PHで体液が酸性側か?アルカリ性側か?
- PaCO₂とHCO₃⁻で呼吸性か?代謝性か?
- PaCO₂とHCO₃⁻で代償性変化
なんとなく、血ガスの拒否反応が和らいできましたか?
明日からの仕事で、血ガスの値にちょっと興味を持ってくれたら嬉しいです。
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40代ママナース、40代女性の方の活き活きとした時間のお役にたてると思いますので、是非ほかの記事もご覧ください♪
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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