呼吸数がいつもより多い!少ない!なんで?
そもそも呼吸ってどんなしくみだっけ?
呼吸の異常を理解してアセスメントできるようになりたい!
日頃のバイタル測定で、呼吸数を数える方は意外と少ないと聞きました。私は新人看護師の頃から呼吸数を数えるよう教えられてきたので、数える習慣があるのですが、残念なことに呼吸数からアセスメントができないまま時が過ぎていました。
ある日、3学会合同呼吸療法認定士の同僚に呼吸数の大切さを教えてもらい、ハッとしました。そして改心した私は、呼吸の基本から復習しています。

この記事では、呼吸数の異常と呼吸のしくみについてまとめています。
勉強の参考にしたものは「エキスパートナース2022年2月号」と「病気がみえるvol4 呼吸器」です。

読んでいただくと、呼吸のしくみをイメージできて、明日からのバイタル測定やフィジカルアセスメントで呼吸状態を注意深く観察したくなる内容です。
ぜひ最後までご覧ください。
呼吸回数の異常と原因
ここでは、異常回数になる原因と起こりえる症状についてまとめています。
呼吸回数の正常は12~20回/分
徐呼吸は12回以下
頻呼吸は20回以上
呼吸回数が減る(徐呼吸になる)原因
徐呼吸の原因として主なものは
- 頭蓋内圧亢進
- 睡眠薬の大量投与
- 鎮静薬や麻薬の投与・・・など
呼吸は深くなる(つまり1回換気量が増加する)ことが多いです。
あ
【徐呼吸が継続すると起こりえること】
- 低酸素症状
- 呼吸性アシドーシス
- 呼吸不全・・・など
呼吸回数が増える原因
呼吸回数が増えた状態には種類があります。
呼吸回数 | 呼吸の深さ | 原因 | |
頻呼吸 | 増加 | 変化なし | 発熱 肺炎 など |
多呼吸 | 増加 | 増加 | 呼吸窮迫症候群(RDS) 過換気症候群 肺血栓塞栓症 など |
【頻呼吸が継続すると起こりえること】
- 心拍数増加
- 低酸素症状
- 呼吸不全
- 呼吸性アシドーシス・・・など
呼吸回数が不規則になる原因
呼吸バターン | 原因 | |
チェーンストークス呼吸 | 過呼吸 → 減呼吸 → 無呼吸を繰りかえす | 心不全 尿毒症 脳出血 脳腫瘍 |
ビオー呼吸 | 不規則に速く深い呼吸 → 突然無呼吸 → 不規則に速く深い呼吸 | 脳腫瘍 脳外傷 脳膜炎 |

呼吸の異常は、脳疾患が多いね!
呼吸がいつもと違う!と気づいたら、脳疾患を念頭に入れた全身観察へ移行するとアセスメントしやすく、医師への報告がスムーズです。
観察項目 | 呼吸異常で現れるかもしれないこと |
JCS | ←脳疾患や呼吸性アシドーシスでJCSは低下するかも |
瞳孔 | ←脳疾患で異常が現れるかも |
呼吸の異常 肺雑音の有無 | ←呼吸回数がいつもと違う! ←気道閉塞で呼吸音が消失してるかも、痰がたまっているかも |
頸動脈怒張 チアノーゼ | ←低酸素や心不全で現れるかも |
腹部の異常 腸蠕動音 | |
四肢の異常の有無 | ←脳疾患で現れるかも |
皮膚の異常 | |
足背動脈蝕知 |
ちょっとやばいです、という呼吸
死期が近かったり、気道確保が必要かもしれなかったりするような呼吸をまとめます。
努力呼吸
努力呼吸とは、通常の呼吸筋 (外肋間筋や横隔膜) だけでは呼吸が困難な時に、胸鎖乳突筋、斜角筋、お腹の筋肉( 腹直筋 、 内腹斜筋 、 外腹斜筋 、 腹横筋 )といった呼吸補助筋の力をかりて呼吸することです。


吸気時に胸鎖乳突筋や斜角筋部分が収縮して、頸部がへこむような感じに見えるよ!
奇異性呼吸(シーソー呼吸)
胸部と腹部の動きが同調していない呼吸です。
原因は上気道閉塞が考えられるため、気道を確保します(気道挿管も考える)。痰などの分泌物で閉塞していることもあるので、吸引を行います。
わかりやすい動画があったので参考にのせます。
下顎呼吸
下顎を動かして、口をパクパクさせて呼吸をする状態です。
死期が近い時や、重篤な呼吸不全等の時に見られます。
肩呼吸
肩の上下運動を伴う呼吸です。
喘息発作などのときにみられます。
呼吸に関するもののイメージ図を覚える
体の内部でどんなことが起こっているのかイメージできると、バイタルサインの数値や、フィジカルアセスメントで観察したことが理解しやすいって先輩に言われたことがあります。
そのため、図を駆使して、呼吸のしくみをイメージしやすくします。
気管と肺葉の肺区域


このイメージ図を頭に入れておくと、聴診のときにどの場所を聴いているのかわかりやすいです。
前胸部で見る肺の位置が、第4肋骨、第6肋骨を目印にするのがポイントです。
気管の分岐部は、右側の角度が約25度、左側が約45度です。

だから、誤嚥すると右側に異物が流れ込みやすくて、右側の誤嚥性肺炎を起こしやすいんだね!
背部はTh2と腋窩を結んだ線が上葉と下葉の目安です。
呼吸筋のイメージ図
おおまかな筋肉の位置ですが・・・写真を参照してください。

主な呼吸筋は、外肋間筋、内肋間筋、横隔膜。
補助呼吸筋は、胸鎖乳突筋と斜角筋、お腹の筋肉(腹直筋 、 内腹斜筋 、 外腹斜筋 、 腹横筋)など。補助呼吸筋は、換気が増大したときや努力呼吸などの時に使われます。
主に呼気時に働く呼吸筋 | 主に吸気時に働く呼吸筋 |
内肋間筋 お腹の筋肉 | 外肋間筋 横隔膜 胸鎖乳突筋 斜角筋 |
呼吸と神経系のつながりをイメージする
次に、呼吸は神経系と深~くかかわっているんだぁってことをまとめます。
呼吸中枢の延髄から神経を介して呼吸筋が動いている
呼吸中枢は延髄に存在し、呼吸の基本的なリズムを形成しています。
呼吸調節の種類は、行動調整、化学的調節、神経性調整の3つにわけられます。

日常的な呼吸で呼吸促進の刺激は体内のCO2増加
延髄にある中枢化学受容体と、大動脈と頸動脈にある末梢化学受容体は、血ガスと深く関係しています。

ポイント
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日常的な呼吸で呼吸促進の刺激になっているのは、体内のCO2増加
O₂は高度低下しないと呼吸促進の刺激にならないんです。
これは、COPDなどの慢性Ⅱ型呼吸不全患者に大量O2投与は禁忌の理由です。
なぜなら、COPDの患者は慢性的にCO2が高いため、呼吸の促進はO2低下の刺激によります。
CO₂が蓄積し慢性Ⅱ型呼吸不全が憎悪したとき、患者はCO₂を排出しようと呼吸数を増やします。その様子を見て、「呼吸が苦しそう」と高濃度の酸素を投与すると、体内のO₂が上昇します。

そしたら、末梢化学受容体は体内に酸素は十分あるから呼吸促進を促さなくて大丈夫!と判断しちゃう!
でも、実際にはCO₂が蓄積されているので、呼吸促進をしないことで蓄積されたCO₂が排出されず、CO2ナルコーシスとなってしまうのです。
呼吸について①~呼吸数編~のまとめ
呼吸数がいつもより多い!少ない!なんで?
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★呼吸の正常と異常(呼吸回数、呼吸パターン、呼吸の仕方)を覚える。
そもそも呼吸ってどんなしくみだっけ?
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明日からの患者さんのバイタル測定時に、呼吸数を気にしながらお仕事ができたら嬉しいです。
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最後まで読んでいただきありがとうございます。
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