私は地域の小さな病院の一般病棟で働く看護師、ハタワミです。
この記事は、病院の加算がとれるような組織ではなく、病棟の各専門職と連携して共通目標をつくりながら呼吸ケアをしよう!という私の個人的な思いから始まった、細々とした活動記録です。

「3学会合同呼吸療法認定士、取ろうかな?」
呼吸に興味を持った看護師なら、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。
私自身、呼吸って大事!もっと勉強した方がいいぞ!と思い、3学会合同呼吸療法認定士の資格を取得しました。
でも、資格を取ったあとに、こんな疑問が出てきました。
「……で、私はこれから何をしたらいいんだろう?」
資格を取れば、ふんわりしたイメージで、何かができるようになると思っていました。
でも、実際の臨床はそんなに簡単ではありませんでした。
この記事では、RSTのない一般病棟で、私が「ぼっち」のような状態から呼吸ケアラウンド活動を始めて、悩みながら少しずつ形にしていく経過を書いています。
3学会合同呼吸療法認定士を取る意味ってある?
結論から言うと、私はめっちゃ取ってよかったと思っています。
3学会合同呼吸療法認定士の認定講習会では、血液ガス、呼吸機能検査、呼吸不全、酸素療法、人工呼吸器、NPPV、呼吸リハビリテーションなど、呼吸療法を幅広く学びます。
私が資格を取って一番よかったと思うのは、単純に「資格が増えた」ことではありません。
患者さんの呼吸を見る視点が増えたことです。
資格取得はゴールではなく、呼吸を深く学ぶスタート地点だったのだと思います。
でも、職場にRSTがない
私の職場にはRST(呼吸サポートチーム)がありません。
だから、
「3学会呼吸療法認定士として活動したい!」
と思っても、最初は何をしたらいいのかわかりませんでした。病院として正式な呼吸ケアチームを作ることも、加算の面でできない。
そこで私は、
「じゃあ、自分ひとりでもできることから始めてみよう」
と思いました。
まず上司に、

多職種を巻き込んだ呼吸ケアチームのようなものを作り、各専門分野が共通の目標をもって患者さんに関わっていけるかたちをつくりたいです!
と伝えました。
すると、まずは毎日行われる多職種カンファレンス(医師は週1いる)時に発信することを提案されました。
次に、病棟に来るPTに、

呼吸リハビリテーションの共有をしたいです!
と伝えました。
なぜなら、看護師とPTは呼吸理学療法や呼吸指導をすること、生活動作を見る機会があること、といった共通項があるからです。
以前は、PTが体位ドレナージやスクイージングをやっているけれど、看護サイドではやっていない、ということがあったり・・・。
痰の貯留により酸素化不良となっている状態を看護師だけで情報共有していたため、PTによる呼吸リハビリテーション介入が遅くなってしまったり・・・。
PTも看護師も、患者へのケアの方向がバラバラで、同じベクトルを向けるようになるといいな、と考えたのです。
それが、呼吸ケアラウンドの一歩でした。
継続看護の壁
まずは病棟看護師向けに、呼吸観察、スクイージング、体位ドレナージ、呼吸介助の勉強会をしました。
病棟で呼吸ケアを継続的に行うためには、呼吸状態の観察の知識、排痰ケアの技術の取得が必要だと思い、勉強会を行いました。勉強会の後は、実際の患者さんに対して一緒にスクイージングを行い、技術の確認をしました。
しかし、勉強会後のアンケートでは呼吸ケアが大切だし、業務の中で活かせそう!という前向きな意見が大半だったにもかかわらず、実施率はとても低いままでした。
ここが、私が実際に活動して一番悩んだところです。
「知っている」と「実際にやる」は全然違う。
勉強会をしたからといって、翌日から看護師みんなが呼吸ケアをできるわけではありません。
最初は、
「どうしてみんなやってくれないんだろう」「私はみんなから疎まれてしまっているかもしれない」
と、自分を責めるネガティブな気持ちが続きましたました。
でも、みんなの意見を聞かずに、私の思いこみで決めてはいけない。そのため、アンケートをとることにしました。
ひとりで抱え込まないことも、ぼっち呼吸ケアラウンドには重要
ぼっち呼吸ケアラウンドを始めたころは、
「私が呼吸ケアが必要な患者さんを見つけて、評価して、スタッフに伝えていこう」
と思っていました。
でもひとたびちょっと声を上げることで、小さな変化がありました。
【多職種カンファレンスで発言し始めたら変化があったこと】
☆PTから、呼吸リハの介入が必要そうな患者情報や、呼吸ケアの進捗具合の報告をしてくれるようになった。
☆主に私が、呼吸ケアが必要そうな人がいたらPTへ情報共有し、医師へリハ依頼をする流れができるようになった。
☆PTからの患者情報をもとに、その患者の全身状態を確認し、そのフィジカルアセスメントを通して、排痰ケア(体位ドレナージやスクイージング)の必要性をカルテに記入し、看護師間で共有するようになった。
この変化はすごくありがたいことでした。
ところが、それだけでは、限界があるのです。
私自身、短時間の週4回出勤のパート看護師で、その短い勤務時間に得る情報には限界があったり、出勤していない日は何もすすまなかったりすることもありました。
「もっと上手に伝えられたらいいのに」と、多職種とのコミュニケーションに悩むこともあります。
呼吸を意識する看護師仲間を増やすことや、多職種との情報共有が、すごく重要だと感じます。
3学会合同呼吸療法認定士を取ったあと、何をすればいい?
もし今、資格取得を迷っているなら。
私は、
「資格を取ったら何ができるようになるか」だけではなく、「資格をどう活かしていきたいか」
が、大切だと今となっては感じます。
資格を取っただけで、突然自分が何かできるわけではありません。
でも、資格取得で得た知識を実践することで患者さんを見る視点は変わります。
そして、その視点を持っている人が一人いることで、ほかのスタッフが、
「この患者さん、呼吸状態ちょっと気になるな、ハタワミさんに相談してみようかな」
と思えるようになるかもしれません。それが、呼吸を意識するスタッフを増やす一歩な気がします。
すでに資格を持っているけれど、「何をしたらいいかわからない」という人も、大きなことを始めなくて大丈夫。きっと明日からできることがあります。
明日からできる2つのこと
①まず呼吸状態を注意深く観察する
全身のフィジカルアセスメント、呼吸観察、検査データ、患者背景、治療経過などの情報をとり、コツコツ実践と振り返りを繰り返す。
これは、私の経験談なのですが、看護記録にアセスメントを詳しく書いたら、ほかの看護師が、「そんなに詳しくみているんだ。今度教えて。」「ハタワミさんの聴診記録が参考になった。今度聴診の仕方教えて」と声をかけてくれるのです。
まずは、自分の学びを実践復習を兼ねて、勤務時に地道にやっていたことが、周囲に呼吸に関する視点を広げられたのではないか、と思った出来事です。
②「呼吸ケアをしたい」と上司や同僚に一度話してみる
「RSTを作ってください」ではなく、
「呼吸状態が気になる患者さんについて、一緒に考える時間を作りたい」
くらいから始めてもいいかもしれません。これだけでも十分、最初の一歩です。
私もまだまだ、試行錯誤の途中
3学会合同呼吸療法認定士になったからといって、何かできることは、ほんとないです。ただ、少しだけ、資格を持っているという信頼性はある。
だからこそ、まだ未熟な自分が提案した呼吸ケアなどに、すごく慎重になるし、不安にもなる。
「これでよかったのかな」とたくさん悩みます。「もっといい呼吸ケアができたはずなのに」と後悔することもたくさんあります。スタッフへの伝え方にもたくさん悩みます。
それでも、3学会呼吸療法認定士を取らなければ見えなかった世界がありました。
だから私は、3学会呼吸療法認定士資格取得を迷っている人に伝えたい。
資格はゴールではない。
そして、資格を取ったあとに「何をすればいいかわからない」と悩むことも当たり前。
そこから、自分の職場でできることを探せばいい。
私の場合は、それが「ぼっち呼吸ケアラウンド」でした。最初は一人の患者さんの呼吸を見ることからでもいい。
そこから誰かに相談して、誰かと一緒に考えて、少しずつ「ひとりの活動」を「みんなで呼吸ケア」に変えていく。
それが私の目標です。
もしあなたが今、「3学会合同呼吸療法認定士を取ろうか迷っている」なら、まずは日本呼吸器学会で掲載されている下記HPをご覧ください。
そして、すでに資格を持っていて、
「でも、何をしたらいいのかわからない」
と思っているなら。
明日、まず一人の患者さんの「呼吸」をいつもより少し丁寧に見てみませんか?
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